競馬では、距離・馬齢・馬場などにさまざまな条件をつけてレースが行われます。
レース適性などを判断するために必要な情報が血統・系統です。
能力が100%判断できるというわけではありませんが、予想するにあたって必要な指標です。
この記事では、競走馬の血統・系統についてまとめ、それぞれの適性についてご紹介していきます。
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サラブレッド(競走馬)の血統
競走馬の血統は、「父」と「母の父」を確認することで、その馬の能力をある程度推察することが可能です。
中でも、競争能力にもっとも影響を与えるのが「父」
近年種牡馬として、圧倒的な成績を残しているのが、現役時代に伝説級の強さを誇ったディープインパクトです。
競馬の血統ランキングを作成するとすれば、間違いなくディープインパクトが1位に選ばれると断言出来ます。
そんなディープインパクトを父に持つ競走馬の多くは、父と同じように中距離レースを得意として最後の直線で他馬を一気に抜き去る「差し」「追い込み」を得意とします。
そんな血統を順番にたどっていくと、最終的には以下の3頭にたどり着きます。
【競走馬の3大始祖】
- ダーレーアラビアン
- ゴドルフィンアラビアン
- バイアリーターク
上記3頭について、もう少し詳しく見ていきましょう。
血統3大始祖①ダーレーアラビアン
ダーレーアラビアンは、推定1700年生まれと言われています。
ダーレーアラビアン系は、5代目の父系であるエクリプスによって繁栄を見せ、現在90%以上もの占有率を誇る大父系なのです。
ダーレーアラビアン系は、エクリプス系とも言われることもあります。
19世紀のはじめごろまでは、バイアリーターク系と互角の勢力でしたが、19世紀後半からはセントサイモン系の登場から一気にその勢力を圧倒的なものにしました。
20世紀中期には、ネアルコ系が大きな血統革命を起こし、そこから派生したナスルーラ系やノーザンダンサー系も大繁栄。
現代の日本競馬に大きな影響を残している
・サンデーサイレンス
・ライアンズタイム
・トニービン
などもネアルコ系の流れを組んだ系統なのです。
血統3大始祖②ゴドルフィンアラビアン
ゴドルフィンアラビアンは、推定1724年生まれと言われています。
実は、ダーレーアラビアン系が繁栄するきっかけとなった、エクリプスの母の父がゴドルフィンアラビアンなのです。
結果的にダーレーアラビアン系の発展の手助けをしたことが、ゴドルフィンアラビアン系が大きく発展しなかった要因でもあります。
とは言え、ゴドルフィンアラビアンから3代目のマッチェムによって大きな発展を遂げます。
そのため、マッチェム系とも呼ばれます。
マッチェム系は、ヨーロッパでは常に少数派の父系と扱われましたが、スペンドスリフトがアメリカでリーディングサイヤーを獲得するなど父系を発展させました。
アメリカの歴史的名馬マンノウォーは、スペンドスリフトの血を引いています。
日本でも、マンノウォーの子である持込馬の月友が種牡馬入りすると、ダービー馬を3頭排出するなど、日本の生産界に大きな影響を残しました。
しかし、クライムカイザーが1976年の日本ダービーを勝って以降は、マンノウォー系のタイトルがしばらく途絶えていましたが、2004年にサニングデールが高松宮記念を制して、久々の父系勝利を飾りました。
血統3大始祖③バイアリーターク
バイアリータークは、推定1680年生まれと言われています。
バイアリータークは種牡馬として優秀ではありませんでしたが、5代目のヘロドの種牡馬としての活躍によって消滅を免れました。
ヘロドは、ダーレーアラビアン系のエクリプスと並んで称されるほどの優秀な成績を残しています。
しかし、19世紀後半になるとヨーロッパ、アメリカで急速に父系は衰退していきました。
ヨーロッパでは、リュティエの系統、ロレンツァチオの系統が残っていますが、繁栄の糸口はつかめていません。
日本では、輸入されたパーソロンが三冠馬のシンボリルドルフや、天皇賞馬のメジロアサマを排出。
そこから有名なトウカイテイオーやメジロマックイーンが誕生し、さらにトウカイテイオー産駒のトウカイポイントが活躍と、着実に父系を繋ぐことに成功しています。
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現在主流となっている競走馬の10大血統系統
現在、世界の競馬で活躍している競走馬の血統系統は、下記の10系統です。
- サンデーサイレンス系
- ヘイルトゥリーズン系
- ミスタープロスペクター系
- ノーザンダンサー系
- ナスルーラ系
- ハンプトン系
- セントサイモン系
- マイナー系
- マッチェム系
- ヘロド系
このうち、①~⑤までがエクリプス・ファラリスの血を引いた系統です。
⑥~⑩に関しては父系としては断絶し、現在は母系としてその特徴を伝えています。
ここからは、各系統ごとにその特徴と代表的な産駒を紹介していきます。
①サンデーサイレンス系
サンデーサイレンス系は現在の日本競馬で主流となる系統で、現在活躍するほとんどの競走馬がこの血統と言われています。
ディープインパクトがその代表格で、2000m前後の中距離レースにおいて最後の直線で一気に抜き去る瞬発力がその最大の武器です(ディープ系)。
ただ、スタミナやパワーに劣る点が弱点とも言われてきました。
しかし、サンデー系は現存する競走馬の約9割を占め、種牡馬(産駒)もたくさんいます。
スタミナ・パワーに優れた系統代表的な産駒:オルフェーブル・ステイゴールドなど
1400m以下の短距離レースが得意な系統。ディープ系が苦手な芝も得意で、ダイワメジャー産駒はダートもこなせるのが特徴です。
代表的な産駒:アグネスタキオン・ダイワメジャー・フジキセキなど
現役時代はダートで活躍、もしくは現役時代は芝が主戦場でも、産駒としてはダートに向いているタイプが多い系統です。代表的な産駒:アッミラーレ・ネオユニヴァース・エスポワールシチーなど
②ヘイルトゥリーズン系
ヘイルトゥリーズン系はパワーに優れており、芝・ダートともに走れる馬が多いのが特徴です。
その系統は、ロベルト系とヘイロー系の2つにわかれます。
ロベルト系は、豊富なスタミナとダートでも走れるパワーが特徴です。瞬発力では劣るので、タフな馬場やハイペースになった消耗戦に強い競走馬が多く、ゴリゴリと力で押し切るタイプが多くなります。
代表的な産駒:グラスワンダー・スクリーンヒーロー・モーリスなど
ヘイロー系の特徴は、スピードとパワーのある馬が多いことにあります。基本的に得意なのは、短距離~中距離でスピードを活かすレース。
ただ、瞬発力よりは速い流れで押し切る形となります。
パワーもあるので、ダートや荒れた馬場でも力を発揮しやすい系統です。
代表的な産駒:タイキシャトル・メイショウボーラー・レッドスパーダなど
③ミスタープロスペクター系
ミスタープロスペクター系は米国の主流血統ながら、欧州でも名馬を出した系統になります。
米国型はダートを主戦場とし、欧州型は芝適性が高い系統です。
ダート向きが多いフォーティナイナー系、芝で活躍するキングマンボ系、それ以外のミスタープロスペクター系の3種にわけられます。
フォーティナイナー系はダート・短距離向きです。しかし、まれに芝・短距離~中距離が得意なタイプもいます。
仕上がりが早いのが特徴で、2歳戦から活躍します。
ダート短距離に強い種牡馬はサウスヴィグラス。
対象的に芝で強いのがアドマイムーンです。
この系統は延長ローテが苦手ですが、これに強かったのがアイルハヴアナザーになります。
代表的な産駒:サウスヴィグラス・アドマイヤムーン・アイルハヴアナザーなど
キングマンボ系は、現在の日本競馬においてサンデー系と並ぶ系統です。持続力とパワーに優れているのが特徴ですが、スピードが弱いのでダートに向いています。
母系の特徴を引き出しやすい系統で、母系が芝血統なら芝向きに、ダート血統であればダート向きになります。
ただ、全体的にはスピード不足になりやすい系統です。
代表的な産駒:ルーラーシップ・アルカセット・エイシンフラッシュなど
④ノーザンダンサー系
ノーザンダンサー系は世界中で活躍する競走馬を出しており、こちらも米国型と欧州型にわけられます。
欧州型はタフな馬場でも走り切るスタミナが持ち味ですが、スピード不足なので短距離には不向きです。
米国型はダート向きの馬が多く、2歳戦から短距離で走る産駒が多くなります。
欧州型の代表的な産駒:テイエムオペラオー・ホワイトマズル・メジロライアンなど
米国型の代表的な産駒:ヘニーヒューズ・フサイチリシャール・ハードスパンなど
⑤ナスルーラ系
ナスルーラ系は、ノーザンダンサー系に取って代わられている系統で、現在では活躍する種牡馬も少なくなっています。
ノーザンダンサー系などと同じく、ダートに強い米国型、スタミナ勝負の欧州型、スピード向きの日本型などがあり、日本で強さを発揮しているのは米国型になります。
代表的な産駒:サクラバクシンオー・パイロなど
⑥ハンプトン系
現在では父系としては残っておらず、母系としてスタミナに強い競走馬を残しています。
その代表的な産駒がサッカーボーイです。
現役時代は快速場でしたが、種牡馬になってからはスタミナ豊富な産駒を出しています。
その他、ステイゴールドの母系がこのハンプトン系です。
⑦セントサイモン系
セントサイモンは英国競馬の至宝と呼ばれた名馬です。
その特徴は豊富なスタミナと底力で、現存する競走馬のほとんどがこのセントサイモンの血を持っていると言われています。
ただ、現在は衰退しており、母系として残っています。
⑧マイナー系
⑨マッチェム系は現在の日本でごくわずか
マッチェム系はゴドルフィンアラビアンから派生しており、高いスピード力と持続力が特徴の産駒です。
その代表格といえるのがカルストンライトオで、2002年のアイビスサマーダッシュで記録した53秒7の走破タイムは、新潟1000mでいまだに更新されていない最速記録となっています。
現在の日本では、このマッチェム系の血は風前の灯です。
マッチェム系の競走馬は現代の競馬ではなかなか活躍馬が排出できておらず、ビジネス面から見ても交配に旨味がないのかもしれません。
なんとか、マッチェム系を存続させてほしいものです。
⑩ヘロド系
ヘロド系はバイアリータークから派生した系統です。
メジロマックイーンやトウカイテイオーなどがこの系統になりますが、現在では母系しか残っていません。
メジロマックイーンを母父としているのが、元三冠馬のオルフェーブルやゴールドシップです。
まとめ
この記事では、競馬において重要な血統・系統についてまとめました。
現在の日本競馬で活躍しているのは、その多くがサンデーサイレンス系で、得意な馬場などによって枝分かれしているのが現状です。
通常、競馬において出走馬の血統を見る際は種牡馬となる父の系統を見ます。
完全に引き継がれるとは限らないものの、その血統を見ると馬場の適性や距離適性、得意なレースの進め方などが如実に現れます。
ただ、母の特徴が伝わている可能性もあるので、レースを予想する際は
母の種牡馬もしっかりとチェックしましょう。
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