競馬で放牧をする目的とは?放牧明けに好走する3つの条件を徹底解説

競馬 放牧

競馬では、競走馬がどのレースに出走するのかをある程度想定してローテーションが組まれています。もちろん、途中の成績によっては進路を変更することがありますが、まずは三歳クラシックに向けて準備を行い、着実にレースを勝ち上がっていくことが重要になります。

古馬になった後も、有力馬はG1レース、G2レースに向けて調整を行うのが主流になっており、狙いのレースまでに期間がある時には放牧を行い競走馬をリフレッシュさえることもあります。

一昔前までは、放牧後の競走馬はレース感覚を失っていたり、力を出し切れないとされており、評価が下げられがちでした。

しかし、最近の競馬では短期放牧などを駆使して、少ないレース数で確実に勝利を上げることが重要視されています。

この記事では、競馬において競走馬を放牧させる理由や、放牧後に好走する競走馬の傾向などをご紹介していきたいと思います。

競馬における放牧とは?

競走馬 放牧

競馬における放牧とは、基本的には北海道などの牧場に競走馬を送り、広大な土地で自由に走り回れる環境に一定の期間おくことを言います。

タイミングは運営と調教師が慎重に判断を下し、狙いのレースの時期などをすり合わせて行い、どれくらいの期間にするかを決めています。

以下では、放牧させる目的と放牧の種類のついてご紹介していきたいと思います。

競走馬を休ませるため

放牧の最大の目的は競走馬を休ませることにあります。G1を何勝もしているような有力馬の場合は、レース間隔を開けて大きなレースにのみ出走することが増えて来ていますが、そうでは無い競走馬の場合は中2週や3週でもレースに果敢に出走していきます。

しかし、1つのレースに出るだけでもかなりの体力を消費するため、短い間隔でレースに出続けていると、疲労がどんどん蓄積してしまいます。

疲労が溜まると、本来の力を発揮できなくなるため、一度放牧に出しリフレッシュさせてからまたレースに挑むのです。

放牧にはいくつか種類がありますが、牧場の広い土地で休ませるというイメージは強いと思います。

余り運動をしないため、体重は増加しますが、レースに向けてしっかりと調教を行い以前のような体重に戻すのが基本となりますが、調教が上手くいかなかった時には、大幅に体重が増えてレースに出走するケースもあります。

ケガを治療するため

競走馬がケガをした際にも放牧に出します。競走馬はケガをしやすいので、ケガでも放牧に出すことも珍しくありません。

ケガの具合にもよりますが、長い時では1年近く休ませることもあります。ケガ明けのレースはイメージ的は良くないですし、長期放牧後は好走するのか不安になるのでオッズが低くなる傾向にありますが、しっかりと完治させ調教を行っていれば好走することももちろんあります。

有名な競走馬だと、2019年のAJCCで見事な復活を遂げたシャケトラがいます。2017年12月24日に開催された有馬記念の後にケガを発症してしまい、1年以上レースに出走していませんでした。

復活のレースとなった2019年1月20日に開催されたAJCCでは、ケガ明けということもあり7番人気で単勝オッズは38.5倍と決して期待は大きくありませんでした。

だが、見事な快走で1着を掴み獲ると、次のレースの阪神大賞典では1番人気に応え2連勝を果たすのです。

しかし、天皇賞春への出走を控えていた2019年4月17日に突然の訃報。状態が悪くすぐに安楽死の処置がとられました。

シャケトラのようにケガ明けでも好走することはあるため、長期放牧明けだからという理由で評価を下げるのは危険とも言えます。

放牧の種類

ここからは放牧の種類についてご紹介していきます。長期休暇を取らせるのが放牧だけではなく、最近では細かいスパンで行う短期放牧などを織り交ぜながら競走馬の状態を上げているのです。

通常放牧:上記でも紹介している、北海道などの牧場に送り、ケガの治療やリフレッシュを行うための放牧です。

パドック放牧:10m四方くらいの狭いパドックでの放牧をパドック放牧と言います。ケガをしていたり、入厩が近い馬などが行うことが多く、厩舎と連結している時もあります。

夜間放牧:通常放牧では、昼間に放牧をして夜間は厩舎に入れますが、夜間放牧では逆に夜の間だけ牧草地に馬を放します。馬は夜間は不安を抱き、じっとしていることができないため、歩く距離が長くなるという特徴があり、通常よりも体力がつきます。

短期放牧:外厩とも呼ばれており、厩舎と牧場の間くらいの環境で、ストレスを少なくしながら効果的なトレーニングを行うことができます。近代競馬では、この短期放牧が非常に重要視されており、主流になりつつあります。

放牧明けに好走する競走馬の3つの条件

競走馬 放牧

それでは、ここからは放牧明けに好走する競走馬の条件を3つに絞ってご紹介していきたいと思います。

放牧だから走らない、良い結果が出せないという時代は終了しました。今はどれだけ上手く放牧を使うかが鍵となっているので、きちんと条件を把握し馬券に反映させていきましょう。

外厩による短期放牧

放牧といっても外厩による短期放牧の場合は、マイナス要素では全くなく、むしろプラス材料と考えるべきです。

基本的には厩舎で調教を行っていましたが、多くの競走馬がいることで非常にストレスを感じてしまうため、体力をすり減らしながらトレーニングを行っていました。

しかし、外厩は一度にあずかれる競走馬に限りがあり、少ない競走馬しか調教していないため、ストレスなく調教に集中することができるのです。

外厩の数が多いですが、特にノーザンファームしがらき、ノーザンファーム天栄の環境は非常に優れており、天栄仕上げという言葉も誕生したほどです。

かなり主流になってきたため、多くの競走馬が外厩でトレーニングを行っていますので、いつ外厩に行っていたのか、どこの外厩に行っていたのかを確認し馬券に活かしましょう。

過去に好走した経験があるか

競走馬の中には、休み明けでも好走する馬もいれば、毎回凡走で終わる競走馬もいます。過去の放牧後のレース結果を確認することが重要となります。

過去のデータを見ると、放牧後だからといって勝率はそこまで変動していませんが、細かく見れば競走馬ごとに得意不得意は存在します。

過去の結果をチェックし、競走馬の特徴を把握するようにしましょう。

放牧の期間

放牧は中途半端な期間行うと凡走することが多いと言われています。実は、厩舎に入れれる競走馬の数には限りがあり、入りきらなくなった競走馬は外厩に行ったり放牧させられたりするのです。

そのため、中途半端な放牧を行った競走馬は、疲れている訳でもなく、レースに向けて良い調教が出来ている訳でもない場合があるため凡走で終わる可能性があります。

むしろ、間隔が長い方が好走するというデータがあり、短いか長いかのどちらかの方が馬券には絡めやすくなります。


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まとめ

今回の記事では、競馬における放牧の目的と種類、放牧後に好走する条件に付いてご紹介させていただきましたが参考になりましたでしょうか?

昔は、放牧後の馬は走らないと言われており、何レースか使った後にようやく本来の力を発揮出来るとされていました。

しかし、近代の競馬では放牧は悪いことではなく、むしろ好走するためには必要なことだと重要視されています。

昔の競走馬に比べると戦歴が少なくなっているのもそれが理由の一つになりますね。今後は、放牧後の競走馬がどのような期間、どのような内容で行っていたのかをしっかりと確認し馬券に反映させていきましょう。

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この記事の監修者
後藤孝男
後藤孝男(ごとう・たかお)
大学卒業後、東京タイムズ社に入社。中央競馬担当記者となり全国の競馬場を初め美浦、栗東トレセンなどへ赴き、取材に、予想にと活躍。同紙休刊後は、実績を買われて競馬専門紙「馬三郎」に創刊メンバーとして参画、一昨年からは美浦トレセン北馬場時計班として毎週、サラブレッド達の調教に目を凝らす。
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